ラーメン屋、それしかなかった
ー本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます!早速ですが、こちらのお店はオープンされてどれくらい経つのでしょうか?
2009年7月7日オープンです。もう16年目になりますね。
ー七夕の日ですね!この日にオープンしたのは狙いがあったのでしょうか?
うーん、ロマンティストだから。
ーなるほど(笑)。お仕事は最初から飲食業を?
いや、違いますね。
サラリーマンやったり、トラックの運ちゃんやったり、古着のバイヤーやったり、いろいろやりましたね。でも飲食業は学生の時からやっていました。
一回就職したんですけど、サラリーマンのデスクワークは向かなくて、それで飲食の方にいったのかな。いろいろやりながら飲食もやって、っていう感じで何も定まらなかったんですよ。
ーいろいろやられた中で、結果的に飲食業界がご自身に合うと思われてこの業界に飛び込んだような感じでしょうか?
合う、合わないはわかんないけどもそれしかなかったのかな。
当時せたが屋さんが好きでよく通っていました。28歳ぐらいの時にスタッフ募集の張り紙を見つけて、ここで働きたいなと思って軽い気持ちでバイトで面接に行ったんですよ。そしたら前島社長(せたが屋グループ社長)に「バイトなんか言ってねぇで社員になれ」って言われて社員にならせていただきました。そこからですね。
ーラーメンが元々お好きだったんですね!
静岡から出てきた時にラーメンにハマったんですよ。当時静岡にはラーメン専門店があんまりなくて。東京にきてからラーメンの多様性にハマって、ずっと食べ歩いていました。でもまさかそれが自分の仕事になるとは全く思ってなかったですね。
ー当時からたくさんのラーメンを食べられていたのですね。
そう。それでこの身体だから(笑)。「信念」を貫く
ー16年もお店をやられていると、始めた当初と比べてラーメン業界も大きく変化したと思います。この16年間、特に苦労した時期はありますか?
今かな。「人手不足」と「原材料の高騰」。
まず、とにかくスタッフが全然集まらないんですよね。俺も歳取っちゃってずっと立ってらんないから、手伝ってもらいながらやらなきゃいけないところで、人がこない。ラーメン屋ってオープンするのは短時間でも、前後の仕込みがあるんで労働時間がすごい長いんですよ。だから夜は閉めたりしてますね。
ーそのような苦労もある中、入れ替わりの激しい「ラーメン業界」の中で成功を収められた秘訣は何かあるのでしょうか。
一つだけではないんですけど、やっぱ信念を持ってやるってことかな。俺の中ではもう、自分が好きな味しか作らないって決めてて。売れるからいいじゃなくて、自分が売りたいものを売るっていう。それに尽きますね。
ーそれを通してやられてきた結果評価をされたということですね。
そうですね。うちのラーメンって別にインパクトがあるわけじゃない、普通のラーメンなんですけど、でもそれが評価されたら嬉しいですね。
商売でやる場合はもちろん売れなきゃしょうがないし、売れるラーメンを作る気持ちもわかるんだけどね、それだったら独立しなくていいんじゃないって話。自分の店だったら自分の味でね。ミシュランガイド「ビブグルマン」について
ーミシュランの審査員って普通のお客さんみたいな感じで来るって聞いたんですけど...
そうそう。誰が審査員かなんて全然わかんない(笑)。
それである時インビテーション(招待状)が送られてきて、何だこれと思って開けたら、ミシュランのパーティーがあるんできてくださいって。でもそれにはまだミシュランガイドに乗るって書いてないんですよ。ただパーティーにこいって。何だそれと思ったよ(笑)。
ーパーティーには行かれたんですか?
もちろん(笑)。
そのパーティーで初めて載りますよって発表されて。
その時はもう、感無量でしたね。
ーそれはかなりのサプライズですね!
そうですね。
ミシュランガイド東京のラーメン部門に初年度から乗ったんですよ、うち。それまではラーメンのカテゴリーがなかったから、招待状が届いた時は、うちはフレンチでも何でもないし、何のことだと思ったよ。手間暇かけた一杯
ー店内を見渡すと、食材などにとてもこだわってらっしゃるという印象を受けたんですけど、中でも特に伝えたいこだわりはありますか?
これはよく言うことなんですけど、素材にこだわっているわけじゃないんですよ。美味しいものを作ろうとしたらこうなったっていう“結果論”であって、素材ありきじゃないんですよね。
ただ、手間暇かけた一杯を提供するようにしてますね。知ってた?チャーシュー2種類はうちが初めてなんだよ。
ーそうだったんですか!
今じゃ当たり前になっているけどね。メンマだってうちは2種類仕込んでるし、チャーシューも特製なら3種類だから。もうめちゃくちゃ手間かかってるんですよ。自分で自分の首絞めてるよね(笑)
ー本当にこの値段で提供して大丈夫なのかと心配になります...やはり「ラーメン1000円の壁」は意識されているのでしょうか?
それはやっぱり、ずっとありますよね。例えば、今うちのラーメンは900円だけど、大盛りにして玉子をつければそれだけでもう1100円。1100円あれば他にも食えるものっていっぱいあるじゃないですか。そこの競争に勝てるかが勝負だよね。びぎ屋の一杯を学芸大学のスタンダードに
ー既にかなりの評価をされていらっしゃると思うのですが、今後の展望はいかがですか?
やっぱり末長くやっていきたいというのが一番ですね。
将来的にはその街のスタンダードになりたいなっていうのがありますよね。「学芸大学と言ったら『びぎ屋』だよね」みたいな。
ーそういう想いも相まって醤油にこだわり続けているところもあるのでしょうか?
そうですね。もちろん今に合わせてレシピのチューンナップはしてるんですけど、基本的には醤油専門で。
限定ばっかやってお客さんを集めるんじゃなくて、自分の出しているラーメンでお客さんを呼べるようになりたい。とにかくそのラーメンをもっと美味しくできるようにしたいよね。
今回のインタビューでは、信念を貫きひたむきにらーめんと向き合う長良さんの姿勢、ユーモア溢れるお人柄を知ることができました!読者の皆様もぜひお店に足を運び、こだわりの一杯を食べてみてください!
・プロフィール長良 貴俊 店主
「せたが屋グループで経験を積み、2009年7月7日に「麺処 びぎ屋」をオープン。
数々の賞を受賞し、ミシュランガイド東京「ビブグルマン」では2015〜2020の6回にわたり掲載される。
・店舗情報
麺処びぎ屋
【住所】〒152-0004 東京都目黒区鷹番2-4-9
【営業時間】11:30~14:45 / 18:00~21:00(スープ切れの場合あり)
【公式HP】http://www.bigiya.com/
【公式X】https://x.com/bigiya2009
【公式Instagram】https://www.instagram.com/bigiya2009/
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