店主インタビュー

『TRYラーメン大賞』15年連続掲載の逸店「らあめん元〜HAJIME〜」


2009年のオープンから15年連続で『業界最高権威 TRY認定 ラーメン大賞』への掲載を果たしている都内屈指の名店『らあめん元〜HAJIME〜』。店主の内田 元さんは大のラーメン好きとしても知られており、テレビ番組『マツコの知らない世界』では「中華そばだけを食べ続ける人」としてラーメンを紹介されました。今回はそんな内田店主に、作り手と食べ手両視点からのラーメン観をお伺いすることができました!

2024年12月28日 更新
『TRYラーメン大賞』15年連続掲載の逸店「らあめん元〜HAJIME〜」 - サムネイル

美味しすぎるラーメンとの邂逅


ー本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます!まずはご経歴をお伺いしたいのですが、元々ラーメン業界ではないところで働かれていたとか...

元々運送会社でトラック運転手をやってたんですけど、23〜24歳のときに会社が倒産したんです。それでハローワークに通ってたら近くにラーメン屋があって、そこがあまりにも美味しくて。とりあえず仕事を探すぐらいだったら、こういうのをやってみたいなと思ったのが(ラーメン業界に入った)きっかけです。



ーその後はラーメン業界でどのような経歴を歩まれてきたのでしょうか?

『一本気』っていうところで2〜3年ぐらい修行して、その後にフランチャイズの味噌ラーメン店に2〜3年ぐらいいました。その後、味噌ラーメンの店がお金を出してくれて『つけ麺屋元(げん)』っていうのをやって、それから独立しました。


ーそうだったんですね。その後に地元にオープンしようと考えて、現在の場所に決められたのでしょうか?

そうですね。もしラーメンでダメだったら友達呼んで、酒飲ませて、金使わせようっていう古い考えのもと地元に出した感じです。


ーなるほど(笑)。ところで、内田さんのお名前は「元」と書いて「げん」と読まれると思うのですが、店名はどうして「はじめ」なのでしょうか?

『つけ麺屋元』のときに、お客さんが電話とかで「今、元(げん)にいるんだけど」とかって言ってて、なんかすごい呼び捨てされてるみたいな。感じ悪いじゃないですか。


ー確かに(笑)。

それもあったのと、自分で独立やって一から始めよう、っていう意味でも、「はじめ」の方がいいのかなっていう。だから、ロゴの「元」の2本目の線が白くなってるんですけど、それは「一から始める」っていう意味で色を変えてあります。


ーそのような意味が込められていたんですね!

店頭に掲げられている「らあめん元〜HAJIME〜」のロゴ。込められた意味を知れば見え方も変わる。



『TRYラーメン大賞』15年連続受賞


ーオープン当初からTRY受賞は目指されていたんでしょうか?

目指して取れるもんじゃないすからね。取れたらありがたいなとは思ってましたけど。目指すっていうよりかは、「皆さんに喜んでもらえるラーメン」っていうのが自分の納得のいくラーメンだと思ってやってましたね。


ーオープンしてすぐ受賞された時のお気持ちはいかがでしたか?

どうですかね。もう15年前ですからね。どうなんですかね。


そりゃ嬉しいですけど、まあ難しいですよね。年によってすごい凶暴な時と、そうでない時があるんで。でも新人王っていうのは一回しか取れない。1回しかチャンスがないんですよ。そういう意味では嬉しかったです。


ーチャンスをものにしたという、手応えみたいなものがあったのでしょうか。

でもね、最初の1年はそんなこと考えてらんなかった。
オープンして2〜3週間で『王様のブランチ』出ちゃって、そっからもういきなり何十人も並んでるっていう中で、とにかくそれを回すだけで精一杯。テレビとか雑誌なんかも毎週のようにくるし、嬉しいとかなんだとかっていってる時ではなかった気がします。


ー本当に忙しいと喜んでいる暇もないんですね...。15年連続受賞という、長きにわたって評価をされ続ける要因はどのように考えていらっしゃいますか?

別に評価をして欲しくて作ってるわけじゃないんで。自分の中で時代と共に少しずつスープも変えてて、麺も変えられるタイミングで変えたりとかしてて。同じように見えてどんどん変わってるんで。


ただ軸はあるんで、そこの軸を変えずにどう時代とともに成長していけるか、みたいな。足し算やって引き算やって、というのを繰り返してますけど。そんな感じっすかね。



『ぎゃくさつ』の裏側


ー以前にはコラボ商品をたくさん発売していただきました!個性的な名前のラーメンとかもありましたが、ネーミングは内田さんが考えられているのでしょうか?

内田さん:僕と店長とで「こんな感じでやっていこうか」みたいなのを提案したり、っていう感じかな。


氏家さん(店長):一番ひどいのは『ぎゃくさつ』(笑)。あれはウインナーでしたよね。

仕込みをしながらインタビューに協力してくださった、店長の氏家さん。


内田さん:そうそう。ラー油が入った。割ると辛くなるっていう。


氏家さん:今までの仕込みで一番大変でしたよね。ラー油なんで、ソーセージみたいに固まらないから。一個ずつラー油を入れて、結んで茹でてっていうのを繰り返して。


内田さん:しょうがないよね。思いついちゃったんだから(笑)。


氏家さん:最初結び目を短く取ってたら、それが全部解けて中身が出ちゃったりとかして。そういうので2〜3回試行錯誤しました。あのときは手探りしてましたね。


内田さん:最初は綺麗なんだけど、潰したときにぶわっと出るっていうの「虐殺」って感じがするじゃないですか。ただ最初から赤いんじゃなんの面白みもないんで、自分で刺して赤いのが広がるっていうのが、なんかコンセプトに合ってるかなと思って。


 画像1の説明
 画像2の説明
映画『虐殺器官』とのコラボラーメンとして販売された「ぎゃくさつ」。映画のワンシーンを彷彿とさせる演出が一杯の中に盛り込まれている。


ーお店の方々のアイディアがたくさん詰まって生まれているんですね!

内田さん:ただ面白いだけじゃなくて、やっぱ味も乗っていかないと面白くないんで。ちゃんと美味しい中に遊び心っていうか。そんな感じっすね。



「ラーメンだけを食べるラーメン店店主」が考える“面白いラーメン”


テレビ番組『マツコの知らない世界』に出演し、「中華そばの世界」をご紹介なさった。


ー『マツコの知らない世界』に「ラーメンだけを食べ続けるラーメン店店主」として出演されていましたね!一体、どれくらい食べ歩いていらっしゃるんでしょうか...?

300前後で収まってるのかな、今は。


ー当時番組ではネオクラシック系がトレンドだとお話しされていましたが、今のトレンドはいかがでしょうか?

去年の新人大賞(TRY)は船越が取ってて、あれだってすごい新しいわけではないけど古くはないっていう。昔っぽさと今っぽさをどう融合させるか、そういうのがやっぱ僕は面白いなと思ってて。


結局新しいことをやったとて、それで継続してる店ってすごい少ないと思うんですよね。一発話題になって続けていくよりも、昔から愛されてるものをどう自分なりに表現していくかっていうのが、ラーメンとして僕は面白いと思うので、あんまり何かそのテレビだなんだが食いつくだろうみたいなラーメンは、なんか面白くないっていうか、その場しのぎにしかならない気がするんですよ。


ー心意義がしっかりとしているラーメン屋さんがいいラーメン屋さんということになるのでしょうか?

まぁ、そうですねぇ...
これが流行ってるからやっちゃおうとか、今ならこれが売れるだろう、っていうのを食べると、やっぱり店によっては愛を感じないというか、その店の顔がないんですよね。顔のないラーメンほど面白くないものはなくて。盛り付けの場所とかトッピングの配置とか、茹で加減一つもそうですけど、そこまで考えてちゃんと作ってる人ってやっぱ顔が見えるんすよね、ラーメンに。そこをやっぱり大事にしていってほしいなと思います。



なんでも値上がりする時代だからこそ、お客様を想って


ー長い間お店を経営される中で、一番苦しかった時期はいつでしょうか?

今でもしんどいっすよ。何でも値上がりばっかりしてるけど、やっぱりラーメンの値上げってこっちはすごいビビってやってるんですよね。値段上げるのにビビってる間が長いほど利益がないわけですから。


ーやはり費用的な面が苦しいんですね...

よく友達とかにも「いろいろ媒体に出たりしてると儲かってしょうがないでしょ!」みたいなこと言われるんですけど、想像以上に儲かってないから(笑)。金目当てで愛がねぇのにやってる店とは違うんで。そういう意味では、僕は半分以上趣味みたいなもんでやってるんで、儲からないっすよね、正直。そういう意味ではもうちょい自分が商売人でありたいなとは思ってますけども。


ー費用面の話題では、「ラーメン1000円の壁」の話もありましたね。

今はもうないんじゃないですかね。
ただ、逆に30年以上やってるようなクラスの人たちが、未だに1000円を超えないでやってたりしてて、そういう店があるからこっちもびびって値上げできないっていう。



ーやはりその価格で提供しているのは、お客様に食べて欲しい気持ちが大きいからなのでしょうか。

でもみんなビビってると思いますよ。値上げしてお客さん来なくなっちゃったとか、そういうのもあると思う。


ーラーメンファンの方々は少しの値上げじゃ気にしない人も多いと思いますが、値上げに悩むのはやはり一般のお客様のことを考えていらっしゃるのでしょうか?

そうですね。ラーメン好きな方々は、すんげえ来たって月に1回あるかないか。いろんなラーメン屋を巡るんで。
でも常連さんっていうのは週に3〜4回来てくれる方たちが多いんで、そうなるとやっぱり50円ですらもこっちは躊躇しちゃう。


ー常連さんのことを想ってのことなんですね!

そうっすね。一番大事なのは常連さんです。だからうちは、記念のときにはキーホルダーとかを作って、常連さんだったら年間通してサービスしますよ。たくさん来る人たちなら1ヶ月でペイできちゃうみたいなのを作ったりして、「常連の人たちの味方ですよ」っていうの出してます。


今回のインタビューでは、内田店主のラーメンに対する情熱やリスペクト、そしてお客様を想う精神を感じる事ができました!そんな内田店主の作るラーメンをぜひお店や宅麺で味わってみてください!


・プロフィール

内田 元 店主

2009年に「らあめん元 〜HAJIME〜」をオープン。店主としての実力もさることながら、ラーメン好きとしても名が知られており、2018年にはテレビ番組『マツコの知らない世界』に「ラーメンだけを食べ続けるラーメン店店主」として出演した。


・店舗情報

らあめん元 〜HAJIME〜
【住所】〒174-0043 東京都板橋区坂下2-16-11
【営業時間】[火〜金] 11:30〜14:20 / 18:00〜21:20 [土・日・祝] 11:30〜14:20 / 18:00〜20:20 
【公式X】https://x.com/rahmen_hajime
【公式Instagram】https://www.instagram.com/raamen_hajime/

・らあめん元-HAJIME- 鶏塩らあめんは宅麺.comで

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