2025年02月19日
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40代/男性
・仏伊中印料理の元シェフで、現在はコンサルティングに携わっています。
・宅麺は主に製麺・スープ開発の参考用に利用しています。
・麺の加水率やスープの甘い、塩っぱい、辛い等は主観ではなく、全て検査器により数値化した絶対値及び相対値を元にコメントしています。答え合わせのご参考に。
・味覚検定チョコEASY・NORMAL・HARD全問正解(全問正解率1%)
・ラヲタ歴35年以上、春木屋・丸長・土佐っ子の味で育ち、家系直系・二郎直系・東池袋大勝軒直系は何周もしている元ガチ勢です。
・プラチナ会員ですが抽選販売は直近29回中26回落選、新商品は全滅で毎回先着販売で買っています。
・麺が解れない原因は強く固めているからではなく、打ち粉が少ないか、配送時の結露による麺表面の糊化が考えられます。コツとしては思い切って麺を取り出してレンチンし、軽く解して茹で直すと解決出来る場合があります。
2025年02月19日
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一切の火入れをせずじっくりと出汁を抽出した伊吹の水出しは「淡麗」が宅麺でも販売されていますが、「淡麗」が煮干+水という核酸を中心とした旨味の構成なのに対し、
こちらの「豊潤」は煮干+昆布+椎茸という、核酸とアミノ酸の掛け合わせによる旨味の相乗効果を引き出した構成となっています。
ちなみに使われている昆布は蔵で寝かせ熟成させた「蔵囲昆布」と呼ばれる天然物の利尻昆布で、
熟成により旨味が増し、また臭みや雑味などのクセが抜け、非常に上品な出汁が取れる高級食材として知られています。
特に2年物3年物の等級の高いものになると、その分単価も高くなり、京都の割烹や料亭に卸されるような貴重品としても扱われています。
こちらもまず麺を入れる前に素の状態のスープを一口味わってみて下さい。苦味雑味臭みエグみといった類は一切なく、
水出しで時間をかけて抽出された蔵囲昆布の奥深い旨味、オリーブいりこの洗練された風味、まろやかな甘味がグッと押し寄せ、
心地良い余韻に浸っている内にも脳が次の一口を早く欲するよう指令を出してきます。
淡麗は塩分濃度約1.9%、Brix値約4.2%なのに対し、
豊潤は塩分濃度約1.9%、Brix値約4.5%と、両者の塩味甘味には成分上の違いは殆どありませんが、
淡麗のほうは昆布の成分がない分やや塩味の感度が上がり、その対比効果でオリーブいりこの甘みもより際立って感じられ、
一方豊潤のほうは口当たりがまろやかで、煮干だけでは得られない旨味の層を感じられます。
これは旨味の組み立てが異なるという話なので、どちらが上というのはなく、完全に食べ手側の味の好みになると思います。
麺は三河屋製麺のスクエア型低加水角刃細ストレート。
淡麗の麺と同じ切刃番手のポキパツな歯切れの良さが特徴的で、やや硬めに茹であげることでスープを吸い上げ、丼内の一体感と食感の変化も楽しむことが出来ます。
またこちらも淡麗と同じかけラーメンスタイルなので、付属トッピングはありません。
余計な追加トッピングも調味料も使わず、スープと麺だけを純粋にお楽しみ下さい。
とにかくスープに限っては煮干ラーメンの枠内では究極クラスの旨味のグレードで、むしろ麺の存在が浮いて感じられてしまうほどスープ単体としての完成度が非常に高いのですが、
逆に麺と組み合わせたラーメンの味として考えると、個人的には淡麗のほうが自分の好みに合っているかもしれません。
ここまでくるとラーメンなのに麺の必要性について考えさせられてしまいますね。
ぶっちゃけカエシも抜いて吸い物として純粋に出汁だけを楽しんでみたいです(笑)
なおスープは温度が高過ぎると風味が飛んでしまう為、くれぐれも高温かつ長時間の湯煎は避けるようご注意下さい。